仕事選びとTA-その3-「こころのスイッチ」特徴と長所短所
1.さて、そんな育子さんのチェックリストの結果は…。
こんにちは、講座講師の松本です。
前回からの引っ張りで、今回は「『こころのスイッチ』の特徴、長所」についてお話をしてみたいと思います。
育子さんのチェックリストの結果を考える前に一つの事例を挙げますので、一緒に『こころのスイッチ』の特徴について考えてみましょう。
私たちのこころには働きの違う6つのスイッチがあり、それのどこにスイッチが入るかによって反応が変わります。そのスイッチを下に示しました。
『P』は子どもに対して厳しく育てようとする父親的な側面「CP(Controlling Parent;支配的な親)」と、子どものことを思い遣り、優しく育てようとする母親的な側面「NP(Nurturing Parent;養育的な親)」に分けられます。
『A』は分けられませんが、中には複数に分けて分類する研究者もいます。
『C』は自分の欲求や感情をストレートに表現する「NC(Natural Child;自然な子ども)」と周囲の様子をうかがい、怒られるようなことを振る舞いを一切しない 「AC(Adapted Child;適応した子ども)」、“怒り”や“破壊衝動”“攻撃性”と関連した「RC(Rebellious Child;反抗する子ども)」の3つに分類されます。
それぞれのスイッチの主な働きをまとめると下のようになります。
さて、ここに登場する6人は
それぞれどの『こころのスイッチ』が反応しているでしょうか。
2.育子さんは夏休みを利用し、仲良しグループで一緒にプールに遊びに来ました。
成美:ここのウォータースライダーは2014年に作られたもので、長さや最高速度、落差が日本一なのさ。乗るまでの平均待ち時間は60分。効率よく遊ぶためにはまず優先予約券を獲得して…。
朗子:わぁ~!楽しみ!早く行こうよ!ね、依子!
依子:う、うん…(実は高いところが苦手なんだけど…言えない…)
育子:ねぇねぇ、昨日まで寝込んでいたのに、そんなにはしゃいで大丈夫?
巌夫:ほらほら、ちゃんと並べよ!他の人の迷惑になるだろ!
操 :え~!なんでお前に注意されなきゃならないんだよ!
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成美さんは客観的な情報を口にしています。どことなく理性的な印象を受けませんか??成美さんは「A(Adult;成人)」にスイッチが入っています。
朗子さんはテンションMAXではしゃいでいますね。とても楽しそうです。朗子さんは「NC(Natural Child;自然な子ども)」にスイッチが入っています。
依子さんは“嫌だな”と思いつつ、朗子さんの誘いが断れず、合わせています。「AC(Adapted Child;適応した子ども)」にスイッチが入っていますね。
育子さんはみんなの体調を心配しています。面倒見の良いお母さんのような感じですね。「NP(Nurturing Parent;養育的な親)」にスイッチが入っています。
巌夫君は“きちんとしろ”というメッセージを投げかけています。このグループのリーダーでしょうか。「CP(Controlling Parent;支配的な親)」にスイッチが入っています。
操君は巌夫君の言葉に対して反抗しています。これは「RC(Rebellious Child;反抗する子ども)」の働きです。「RC」には二種類の「反抗」があります、“なんで言うとおりにしなきゃいけないんだよ!”と直接的に反抗するタイプと“分かった”と言いながらやらない、水面下で反抗するタイプとに分類されます。操君は前者のタイプですね。
このスイッチの話をすると、「どのスイッチが一番いいんですか?」といった質問をよく受けます。これらのスイッチにはどれも“一番いい”“一番ダメ”というものはありません。それぞれのスイッチには長所と短所があります。それぞれのスイッチの長所と短所を下にまとめてみました。
これらのスイッチの入り方のバランスは十人十色です。自分自身が、どのスイッチが入りやすく、どのスイッチが入りにくいのかを把握してあげることが、仕事などで過剰なストレスを遠ざける最初の一歩に繋がります。
そのスイッチのバランスを目に見える形で把握出来るチェックリストが『エゴグラム』です。育子さんが授業でやったチェックリストもこのエゴグラムでした。
では、育子さんがどのスイッチが入りやすく、どのスイッチが入りにくいのかは、次回までの宿題としたいとおもいます。では、また。
↓↓↓宿題の答え↓↓↓
“人当りが柔らかく、面倒見がいい育子さん。自分のことよりも相手を優先して考える性格の持ち主”
これは「NP(優しさ)」スイッチの働きです。このスイッチが入りやすい人は優しくて、困っている人がいると黙ってみていることが出来ません。
“引っ込み思案な自分”
これは前回のコラムからですが、「AC(協調性)」スイッチの働きです。このスイッチは長所としては協調性ですが、短所としては自信のなさや気持ちを飲み込んでしまう、という面があります。
以上の点から育子さんは「NP」「AC」のスイッチが反応しやすいと考えられます。
この6つのスイッチのどこが反応しやすいか、しにくいかを視覚化したものが『エゴグラム』というチェックリスト(厳密には違いますが、そのお話をするとあと3回分必要なので…)です。
次回のコラムからは、この『エゴグラム』を中心にして、「心のスイッチと仕事選び」というテーマで何回かに分けてお話をしていきたいと思います。
執筆:松本敦 【講座:全5回で学べる‼交流分析講座】
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