うつによる認識の歪みに注意!~心のメガネが歪んでいませんか?~
うつと心のメガネ
さて、今日はお話に入る前にひとつゲームをしたいと思います。もちろん、お時間がある方だけで構いません。「そんな暇はない!」という方はこのくだりを読み飛ばして下さい。それでは、紙と鉛筆をご用意下さい。
下に一枚の絵があります。その絵を見て感じたことや考えたことを自由に書き出して下さい。もし、複数人でやっている方は他の人とどんなことを書き出したか見せ合って下さい。一人でやっている方は…誰かにまずこのコラムを紹介して、一緒にやってみてください。
① 絵を見て感じたことや考えたことを自由に書き出して下さい。
―さて、いかがでしたでしょうか?複数人で実施した方は、他の人と全く同じことを報告した方はいましたか?もし同じ物を報告したとしても、厳 密に言えばその背景に違いがあることに気付くでしょう。それでは、同じ物を見ているはずなのにどうしてそれぞれが違った印象を報告するのでしょうか。
実は私たちは一人ひとりが違ったメガネを掛けており、そのメガネを通して世界を捉えています。そのため、“同じ物”を見ていても、人によって受け止め方が違ってきます。この“心のメガネ”を『準拠枠』と呼びます。
②私たちは違ったメガネを通して世界を捉えています
誰しもが掛けているこのメガネ、一見キレイに見えますが、よく見るとところどころに曇っている部分があります。
ここで眼鏡を掛けている方は実際にご自分の眼鏡が曇ったときを思い返して下さい。周りの景色を正確に捉えることは可能でしょうか?眼鏡を掛けていない方は、目が霞んでいる状態をイメージして下さい。日常と同じように景色を捉えることは可能でしょうか?
おそらく出来ない方のほうが多いのではないでしょうか。やはり眼鏡が曇っていると情報を正しく認識することが難しくなります。これは心のメガネでも同じことが言えます。心のメガネの曇りがあるために、情報を歪んだ形で捉えてしまうこと、これを『値引き(ディスカウント)』と呼びます。
さて、心のメガネの曇り具合ですが、実はその人のコンディションによって変化するという不思議な特徴をもち合わせています。
つまり『値引き』する具合もその人のコンディションによって強くなったり弱くなったりするということです。
日常生活に置き換えてみましょう。
『自分は誰にも相手にされない』という信念を持っている人(仮)が「挨拶をしたのに挨拶を返されなかった」という状況を思い浮かべて下さい。
調子が良ければ
“私の挨拶に気付かなかっただけかもしれない”
“急いでいたのかもしれない”
“音楽を聴いていたのかもしれない”
“考え事をしていたのかもしれない”
など多角的に考えることが出来るでしょう。
ところが、調子が悪いとどうでしょうか。恐らく“無視された”とか“やっぱり私は誰にも相手にされないんだ…”と悪い方向に捉えてしまう可能性が高くなるでしょう。
身の回りで起こる出来事をネガティブに捉えたり、ポジティブな出来事を小さく捉えたり、ということを続けると遅かれ早かれ、ストローク不足に陥りやすくなる可能性が考えられます。そのため、まずは自分自身のコンディションによってメガネの曇り具合がどのように変化するかを把握しておくが大切になってきます。次回はその方法について、少しお話していければと考えています。
それでは、また。
執筆:松本敦 【講座:全5回で学べる‼交流分析講座】
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